公民としての私たちの義務




 スカウトは、みんなりっぱな自分の国の国民、また世界の公民になるための、準備をしてゆかなければならない。
 まずそれには、少年の時から、すべての少年を友だちとして見ることからはじめるのが必要だ。金持ちだろうと貧乏だろうと、都会の少年だろうと田舎の少年だろうと、みんな肩を組んで、国のためにひとつにならなければならない。仲間割れをしていたら、国の害になるのだ。いろいろな違いは無視しなければいけない。
 相手の少年が自分より貧しいからと行って軽べつするのは、偽紳士だ。金持ちの少年だからといって憎むのは、愚か者だ。

 私たちはみんな、生まれてきた環境をそのまま受け継いで、その中で最善を尽くし、周囲の人と協調してゆかななければならない。私たちは、壁の煉瓦によく似ていて、大きな壁の中ではほんの小さなものにしか見えないが、それぞれの持ち場があるのだ。もし、ひとつの煉瓦が壊れたり抜け落ちたりすると、他の煉瓦に不相応な力が加わって、ひび割れができ、壁はぐらぐらになってしまう。
 出世することにあまり熱中してはいけない。そんな考え方で人生をはじめたら、いつになっても失望ばかりだろう。国のため、または勤め先のためによく働いていさえすれば望んでいる昇進も自然にでき、成功することもできるのだ。
 このための準備として、学校で教わる教科をおもしろいからでなく、自分が向上するのは国に対する義務なのだと思って、まじめに勉強したまえ。数学でも歴史でも語学でも、この気持ちで勉強すればうまくいく。
 自分のことは考えず、国のためを思い、自分の勉強が、ほかの人にとっても将来役に立つ野田と言うことを考えたまえ。  (中略)  スカウティングには、私たちみんなを引きつける魅力があることを、この本の中でいくらかでもわかってもらえたら幸いだ。私は、君たちが、班長や指導者に大切にめんどうをみてもらわなければならないような隊の中だけではなく、荒野にでても、すべて自分でできる真のスカウトなのだと、自信を持ってもらいたいのだ。
 君たちが元気よく何でも自分でやろうとしていること、昔の探検家や開拓者がきみたちの冒険心をかきたてていること、近代的なものがいろいろ発明されているにもかかわらず、独力で出かけて行って自活し、野外生活の自由を楽しみたいと思っていることはよくわかっている。
 私はただその方法をいくつか示唆し、また君たちが男らしい男になるのを手助けしようとしただけなのだ。スカウティングは、熱意を持ち本気になって取り組めば、すばらしいゲームだ。ほかのゲームと同様に、遊んでいるうちに体力、知力、精神力が強くなる。しかし、忘れてはいけない。これは、野外のゲームなのだ。だから機会があったらいつも野外に出たまえ。そしてすべてがうまくいって、君たちに楽しいキャンピングができることを祈っている。

「スカウティング フォー ボーイズ」第九章公民としての私たちの義務
キャンプファイア物語26(P401)